聖天様の節分

 節分の時期になると聖天様のお話を思い出します。夜中の修法が終わった時、聖天様に質問しました。「節分で私達は豆まきの行事をしますが、豆まきの行事についてどのようにお考えですか?」とお尋ねすると『どの様に行じるのか?』とおっしゃったので「豆を持って鬼は外、福は内と言いながら豆を投げます。」と申し上げましたところ『ふ~ん』とおっしゃり、しばらく黙っていらっしゃるのです。『もう一度言ってみよ』とおっしゃるので、「鬼は外、福は内」と申し上げました。すると『人間は何故そのような行事をするのだ?困った者じゃ。実に困った行事だな。豆をまく人もまかれる人も全員外に出なければいけないぞ。』とおっしゃったのです。初めてこのお言葉をうかがった時は本当に驚きました「えっ?」と私が聞き返すと『鬼というものは、外から来るのではなく、自分の心の中に鬼が住み込んでいるのだ。それを正しい行事に直すならば、自分で鬼は外と言って自分の身体に掛けるか、家族が居たらお互いに豆を掛け合うのが正しい行事である。外から鬼が来ると思っているのは大間違いだ。』とおっしゃったのです。聖天様のお答えはいつもユニークです。全員が外に出なければいけないという事を考えると、やはり幸せになるには自分の心の中に住みついている鬼を一度外に出す必要があります。聖法院の信者さんだけでも良いですから、家族同士でお互いの鬼を払い合うつもりで、鬼は外と言って身体に思い切り掛けてもらうと良いですね。外から決して鬼は来ないとおっしゃったのです。
 もう一つ節分の日には巻き寿司の丸かぶりがあります。今年は西南西の方向を向いて一言も発せず食べる。これはごく最近始まった行事であり、本を正せばのりの業者が始めたそうです。お正月を過ぎた2月は、特に行事もなく、商売的に暇な月なので何かないかと考案した結果、私達消費者がまんまと作戦に乗った感じです。関西から始まったので関東の人達はごく最近まで知らなかった行事です。最近コンビニがこの商戦に乗り出して全国的に広まっただけです。仏教的な意味合いは全くありませんが、楽しみながら巻き寿司を頂いて下さい。合掌