素晴らしい真言密教

 ある新聞記者の方が、真言密教は他の仏教と比べると、大学院の教えだと言われました。この教えは弘法大師様が中国で学び持ち帰られたものです。
 十数年に渡り他の仏教と比べながら勉強し、修行された結果、全てにおいて一番理に適っており、他の仏教の教えとは全然比べものにならないほど納得がいき、分かりやすいと実感されたのです。聖法院はこの密教を皆様に分かりやすく伝えて実践し、更にお釈迦様の教えによって、精神の向上を図っています。
 この教えは悪い事はやめて、良い事だけをしましょうと言うような通り一遍の教えではありません。真言密教のご神仏は、ただ優しいだけではない不動明王様や毘沙門天様などの荒神様をお祀りしています。この世の中で死ぬほどの悩みを抱え、苦しむ人達にどのようにして、心を立ち直らせるべきか、不動明王様の険しい顔、怒った顔もじっくりと拝んでいくと、なんと慈悲に溢れたお顔なのだろうと思えてきます。怖いからと思いただ逃げると、不動明王様はずっと怖くて怒っている、と言う思いがついて回ります。近づいてしっかりと拝んでいくうちに、不動明王様の内面の優しさが感じられます。明王は孔雀明王以外全て忿怒の形です。何故怖い顔をしておられるのか?それは人間の甘えや、愚かな行為をいさめるためです。人間関係も同じで優しさだけでは、つけ上がる人もいます。ご神仏がいつも優しく、頭ばかりをなでていると、中には優しさに甘えるばかりになり、そんな人はそれ以上向上しません。
 そこで明王様の出番です。「甘えるな、自分の愚かさに気付け」と怖い顔ですが心の中は優しく我々を諭して下さっています。怒りの奥には慈悲深さのある二段構えになっています。ここが他の仏教とは大きな違いです。何か間違った事をしても優しく見守ってくれますよ、こんな甘い教えではありません。優しいだけでは結局、人間を駄目にします。子育ても同じです。ある時は、厳しい親や先生が必要です。せっかくこの世に人間として生まれたのですから、あの世に帰るまでに最高の人間教育、大学院レベルの教えである密教を「実修実証」(じっしゅうじっしょう)致しましょう。
合掌