比べられない人生

 私達があの世に帰った時、貴方の人生は幸せでしたか?と質問されます。自分は全然幸せではなかった、と答えた人にお釈迦様からさらに質問があり『そんなに不幸であったのか、それは誰と比べて不幸と感じたのですか?』と聞かれました。誰と?と聞かれた人は困ったのです。他人と比べてと答えるしかしょうがなかったからです。特定の誰とは言えませんし、何となく幸せではない様な気がしていただけですから、はっきりとは答えられないのです。次にお釈迦様が質問されたのは、『幸せだと思う人達の不幸を全部知りつくして、なお自分の方が不幸だと感じますか?』と聞かれました。もちろん他人の不幸を隅々まで知っているわけがありません。そうすると幸せそうな他人の上辺しか見ずに自分と比べていたことになります。幸不幸は誰と比べたか、と聞かれると答えに詰まります。お釈迦様は『比べても良いのはただ一人、自分自身である。過去の自分と今の自分しかない』と説かれました。また別の人が自分は幸せな人生ではなかったと阿弥陀様に答えると、『それはおかしな話だ、幸も不幸も全員平等に与えているのに、一人だけ不幸と感じるのは間違った見方をしているか、考え方がおかしいかの何れかである』と説かれました。その人は意味が解らないので、どういう意味ですかと聞きました。『自分の人生の幸、不幸の割合は過去の自分の言動で決まるので他人と比べ様が無い。この理屈をしっかりと理解していないから、不平不満が生まれる。その不平不満の心が、また不幸を招くことになる。他人とは初めから単位が違うので比べられるものではない』とお釈迦様も阿弥陀様も同じことを説かれています。幸、不幸は他人と比べるものではなく、自分自身と比べるものであり、しかも今の瞬間的な時間帯だけで捕らえるものでもない。今日からは自分の人生を他人と比べず日々努力致しましょう。合掌