愚かな繰り返し

 今月はお彼岸月でお墓参りをされる方も多いかと思いますが、弘法大師様が残されたお言葉に『生まれ、生まれ、生まれ、生まれて、生の始めに暗(くら)く、死に、死に、死に、死んで、死の終わりに冥(くら)し』があります。人間は愚かなもので何度生まれ変わっても、何度死んでもまた同じ事を繰り返している。何度輪廻転生しても本来の人間に立ち戻る道理を知らない。何をする為にこの世に生まれて来ているのか。人間とは一体何なのかを知らずに死ぬので、また同じ事を繰り返しています。ご神仏から見られると同じどころか、どんどん下がっているということです。その愚かさが悲しい、とお大師様が説かれました。今、自分が一番苦しいと思う人もいるでしょう。商売が上手くいかない人、病気に掛かっている人、様々な苦しみや悩みがあると思いますが、自分の前世からの行い、そしてこの世での行い、様々な縁、全ての物事は良くも悪くも、色々な縁で起きるということです。他人が悪いのではなくて、どんなに苦しい人でも今は自分がこういう時期なのだ、一日も早く切り抜けよう、少しでも苦しみを軽くして頂こう、という気持ちで信仰心を持ち続けることが大切です。自分が思う様にならないのは、他人や家族が悪いのではありません。もちろん社会が悪いのでもなく、全て自分の行った過去の結果です。自分の因縁が今の結果となっていることを、しっかり自覚せよ、とお釈迦様も説いておられます。色々形を変えて説法をされていますが、縁起によって人生が左右されていると説いておられます。弘法大師様がおっしゃったように、何回死んでも何回生まれても、同じ事を繰り返さない様に努力しましょう。
合掌