幸せへの進言

 五月六日は、鑑真和尚の御命日です。鑑真和尚は奈良の唐招提寺を建立された方で、今もそこにお墓があります。鑑真和尚は、中国から律(真言律宗と言う真言宗の中の種類)の教えを日本に伝えたいと、何度も船に乗って日本を目指しました。しかし、台風などに遭い、辿り着けないことが多く、約十年後の七五三年、ようやく五度目の挑戦で日本に到着することができました。到着時には、大変な苦労の末に失明され、あこがれの日本を見ることはできませんでした。その後、京に上って当時の天皇に可愛がられ、唐招提寺に戒壇を作りました。そして、貴族や皇族も鑑真和尚の元で受戒されました。聖法院でも十一月に結縁灌頂がありますが、当時も受戒をすることはとても重要でした。十年後の七六三年五月六日、鑑真和尚はこの世を去られました。

 ゴールデンウィークが終わりましたが、自分自身を引き締めて緊張感を持つことは大切です。人間には、いつも大なり小なり緊張感が必要だと、御神仏もおっしゃっています。緊張感がないと、交通事故やケガをしやすくなり、些細なことでも人間関係にひびが入ってしまいます。緊張感がないまま会話をしていると、自分ではきちんと話しているつもりでも言葉が足りなかったり、誤解を招いたり、気づかない間に相手を傷つけてしまい、それが人間関係を大きく崩してしまいます。この世で一番難しい修行は人間関係だと思います。人間関係さえうまくいけば、人生のほとんどがうまくいくと言っても過言ではありません。例え自分に不都合なことを言われたとしても、他人から進言された嫌なことでも、素直に受け止めることが幸せへの道だと考えます。勇気を持って他人にあえて言いにくいことを言ってくれる人の言葉を素直に受け止めることが、肝心です。
合掌