大安寺参詣

11月1日信者の方々と共に75名が奈良の大安寺にお参りに行きました。大安寺は奈良時代の創建とされています。5度も改名し場所も変わり、今の大安寺となりました。当時としては南都七大寺として一番大きなお寺で、887人の学僧が学んでいたそうです。東大寺に対して別名南大寺とも呼ばれていました。弘法大師様もここで一時期学んで居られました。その関係で毎年4月21日に弘法大師様の御遺髪を公開して頂けるお寺です。

弘法大師様は15歳で香川県から奈良に出て来られ、叔父さん(母の兄)から儒学を学び、親戚の人達からも秀才と言われ、国務にたずさわる官吏になる様に勧められ、期待されて大学に入学されましたが、お大師様はどうしても儒学よりも仏教に惹かれたのです。何故ならば5,6歳の頃、夢の中で毎日の様に八葉蓮華に座して、ご神仏と語り合っておられたからです。20歳で大安寺に入り剃髪し、名前を「教海」(きょうかい)と名付けられ、その後、「如空」(にょくう)となり、22歳で東大寺にて具足戒を受け、そこで初めて空海と名付けられました。大安寺は度重なる大火によって、立派な伽藍は総て焼き尽くされたそうです。

お大師様を礼拝しながら「人々を正しく導く事は困難な事ですね?お大師様の時代はもっと大変でしたでしょうね。」とお尋ねしました。するとそのお答えは意外なもので『現代と比べると戦乱の世でもあり、飢饉で人々は苦しみ貧していたので、当時の人々は殆ど助けを請うた。人々は貧しいが人間的には素直に、様々な事に耳を傾け、出来るだけその事柄に準ずる努力をした。それに引き換え今は物が豊富で、最低の生活は全員出来る為、自分の考えが優先し、他人の意見を聞こうとしない向きが多い。ましてや目に見えない信仰の話など聞いても心に通じないであろう。それ故苦労が多いと感じる。それらにめげず励むが良い。誠に苦労じゃのう』とお言葉を頂き、この度御参りして一番嬉しかった事です。

お寺を建立した時に『ご苦労であった』とお言葉を頂きましたが、それ以来でしたので、とても感激致しました。この時に以前お大師様から頂いたお言葉を思い出しました。『人生で悪を行じていない人間は多いが、善を行じていない人間はもっと多い。何事も為さざるは罪を犯すが如し。』この度の有り難いお言葉を頂き勇気が出ました。皆様のご協力を仰ぎながら着実に正しい信仰に導く努力をしていきたいと思います。皆様も自分で出来る範囲で他を導く努力をして下さい。  合掌