多重人格

 今一番売れている作家の百田尚樹さんの書かれた「永遠の0」が500万部を超える売れ行きです。私は映画を見に行きましたが、その百田さんが次々と出されている本の中で、人気が出て来ている本が4月25日に発刊された「プリズム」です。先日テレビで北村弁護士が「あれは面白い、次がどうなるのか気になって、ついつい読んでしまった。」とおっしゃっていましたので、早速高山行きの電車で読みました。私にとってこの話は、人生相談の中で過去に体験していますので、大変役に立ちました。今後読まれる方がいらっしゃると思いますので、ストーリーは言えませんが多重人格についての小説です。正しくは解離性同一性障害と言われているそうです。

 私の所に相談に来られた多重人格者の方は、本人や周りの人達の思い込みで、多重人格とは全く違う人ばかりでした。多くの精神科医は本物の多重人格者と出会った事はないとおっしゃいます。相談者の方は私に「多重人格とは多くの霊がついて自分の心を乗っ取られる状態ですか?」と尋ねるので、多重人格は霊の仕業ではありません。これは全て自分自身の仕業です。

 子供の頃の育てられ方や、環境が多重人格を造りやすくします。虐待などであまりの恐怖に出会った時、この恐怖を誰か自分以外の人と代わって欲しいと望んだ時、もう一つは甘やかされて育ち、成人しても自立出来ず、怠け癖がつき、全てを自分の責任にせず、病気のせいにして仕事もせず、社会から逃げているだけです。しかし本人は無意識でその様に行動しているので、自分の代理を自分自身が創ったとは思っていません。相談者の場合、何故これは本人の思い込みだと気付いたか。それは、「この者を誰も見ていない所で一人にさせて、その行動を見なさい。」とご神仏がおっしゃいました。そして、当事者を一人にしてみるとご神仏のおっしゃる通り、全く異常な行動をしませんし、おかしい所は全く見当たりません。ところが第三者が入ると、異常な言動をして、自分じゃないと言い出すので周りの者達は霊の仕業だと思っていたのです。

 また、ある相談者は16歳で、親が勉強しなさいと言った途端に赤ちゃんになるのです。赤ちゃんに勉強の事を言っても、解らないので大人達は言わなくなります。そして自分が親に何か要求したい時は、成人男性になり親に命令口調でものを言います。親や周囲の者達を自分の思い通りにさせる為に、いつの間にか覚えた技なのです。小さな子供が思い通りにならない時に、道でひっくり返って泣きわめく子供がいますが、その時に道路で他人が見ているし、と言いなりになると、それが始まりになる子も多いそうです。その子供は次第に色々な技を覚えて、様々な人間を使い分ける様になるのです。恐いのはその繰り返しをしていると、自分では本当の病気のせいだと思い込む様になっていくことです。

 お釈迦様が子供を育てる事は、どんな事業を成功させるよりも難しいとおっしゃったことがあります。甘やかすことも、厳しく育てているつもりで、時には虐待する事も、どちらも育て方として間違っています。見た目では多重人格に見えても実はそれを装っていることが非常に多くあります。本人がその様に思っていること事態が精神的な病気だと言えるのかもしれません。子育てもお釈迦様が説かれた「中道」が一番正しいのです。極端に甘やかしても怒り過ぎてもいけません。もちろん本当の多重人格の方もいらっしゃいます。本当の多重人格者はそれぞれの性格は勿論違いますが癖や脈拍、知識、歩き方まで異なって来るそうです。大人達は例え自分の子供でなくても、地球上の宝物として子供を正しく育てる責任があるのではないでしょうか。 合掌