塞翁之馬

 新年明けましておめでとうございます。昨年は色々御協力頂きまして誠にありがとう御座いました。昨年はオリンピックも招致されて、日本中が沸き上がりました。今年の初法会ではオリンピックを6年後に控え、益々日本経済が高まります事を祈ると共に、やはり信者の皆様方が今年もお元気に楽しく過される事を心から御神仏にお願い致しました。
 今年は午年です。『塞翁之馬』(さいおうのうま)と言う四字熟語があります。私達の住んでいるこの世では禍福は定めがなく、「禍福はあざなえる縄の如し」と言われる様に幸せがいつ不幸に、また不幸がいつ幸せに転じるか分かりません。従って目先の事や、ちょっとした運、不運で一喜一憂しても始まらない事を『塞翁之馬』と言います。中国の哲学書に出て来る有名な逸話から引用した言葉です。
 昔中国の北の塞(とりで)近くに占いに秀でた老人が住んでいました。ある日その老人が飼っていた馬が塞を越えて胡の国へ逃げてしまったのです。人々は老人に同情して憐れみましたが、老人は「これが福にならないとも限らない」と一向に気にしなかったのです。数ヶ月して逃げて行った馬が胡の国から良馬を連れて帰って来ました。人々は喜びましたが老人は「これが禍にならないとは限らない」と言いました。老人の家は良馬のお陰で富を得ました。ある日乗馬好きな息子が、その良馬から落馬して骨折しました。人々は老人に同情したのですが、老人は「これが福にならないとも限らない」と言ったのです。数ヶ月たち胡の国の軍勢が攻めて来て、元気な若者は全員兵士として駆り出され、9割が死ぬと言う酷い目に遭ったのですが、骨折していた息子は戦争に行かなくて済んだので命拾いをしました。この様に人間の幸不幸は人生最期まで分からないものです。従って日々の小さな災難に一々落ち込まなくても良いのです。それよりも毎日感謝をして、自分で出来る限りの努力をしていると、必ず良い人生に恵まれます。今年は小さな出来事に一喜一憂せず、不動の心で落ち着いて日々を過ごしましょう。
 初ゴマでのお不動様のお言葉をお話し致します。人生に於いては努力と忍耐が最大の宝物である。この二つの宝物を上手に使う事で、必ず良き人生を得る事が出来る。しかし人間は良き人生と聞くと、金持ちになる事だと決め付ける。一番の幸せは金持ちになる事ではなく、心の富を得る事であり、豊かな心の持ち主になる事である。豊かな心の持ち主は、良き人材の宝庫を持ち、やがて商売や事業につながる。お金は努力と忍耐を上手に活かした結果の最期の褒美で無ければ、人間向上せぬうちに得た金は無駄に金を使い、やがては身を滅ぼす毒となる。
 今年も聖法院を心の故郷として、良きにつけ悪しきにつけお参り下さいます様、心からお待ちしております。今年も宜しくお願い致します。 合掌