台湾旅行

 

 梅の花も咲き、大変良い香りが風に乗って流れて来る気候になりました。春になると気分も浮き浮きして旅行シーズンですね。テレビで台湾旅行が報道されたのを見て思い出したのですが、平成元年に3泊4日で台湾旅行しました。現地のガイドさん2人と韓国の方の3人です。ガイドさんは台湾が日本の領土になった時に覚えた日本の童謡を10数曲、次々と歌ってくれました。日の丸(白地に赤く~)海(海は広いな大きいな~)故郷(ウサギ追いしかの山~)等、どれも懐かしい歌ばかりでした。歌った後で日本の人が羨ましい。こんなにたくさんの心やすまる歌や故郷の歌があるからと言われたのです。私はそれを聞いて少し気恥ずかしい気持ちになりました。日本人が一番知っているはずの日本の良さを知らない人も多く、忘れ去られているのではないでしょうか。

 海外へ行くと外国製品にばかり目を向けて、愚かだと感じながら買い物をしている。今や日本は他国にも負けない良品を作り、海外へ輸出したりしているのにも関わらず、日本からの観光客は海外で買い物をしたがる。もっと自分が住んでいる日本の良さを誇りに思い、見直すべきではないかと痛切に感じました。色々自分で反省しながら歩いていると、ふと奈良の大仏様のお姿が目に浮かんできました。

 造られた当時は大仏様も金色に輝いていたのでしょうが、今はすっかり鍍金がはげ落ちています。しかし青銅の深みと渋みのある美しさに変わっています。鍍金がはげて鉄サビがすぐ見える様な人間になるな、と言う教えをご神仏から頂いた事があります。寺院めぐりで曹洞宗の寺へ参詣した時、お釈迦様から頂いた言葉は『ゆるぎなきもの、それは大地なり、その大地を見て全てを悟れ、大地に立って己を深め、人間向上に努めよ』ゆるぎなき大地とはご神仏の懐や手です。根本となるものは己自身、肥料はご神仏の説法、いくら大地の肥料が良くても根本の己自身が、しっかりと大地に根を張らなければ、良い実や花をつける事は出来ません。

 私達もいくら環境が良くても、人間向上にむけて努力しなければ、この世に生を受けた甲斐がなく、ただ生きているだけでは向上するどころか、御神仏に色々借りっぱなしであの世へ帰る事になるのです。私達が人間として向上出来る修行はこの世しかありません。この世の時間が自分自身にどれ位残されているのか、御神仏にしか分かりません。昨日より今日と少しでも人間的に向上して行かねば、せっかくこの世に生を受けたのに、もったいない事です。諸外国を見る度に何と日本は恵まれているのだろうかと実感致します。日本に生まれて来たことに感謝し、また来世こんな平和な国にご縁があります様にと心から願わずにはいられません。 合掌