六波羅蜜の布施について

9月はお彼岸月です。この世が此岸(しがん)、あの世は彼岸(ひがん)と言います。
彼岸の里に到るとは、浄土に到る事です。では彼岸に到るにはどうすればよいか?お釈迦様が六波羅蜜と言う法を説いておられます。六波羅蜜を実行する事によって、必ず極楽浄土に導かれると説かれました。

六波羅蜜は「布施(ふせ)」・「持戒(じかい)」・「忍辱(にんにく)」・「精進(しょうじん)」・「禅定(ぜんじょう)」・「智慧(ちえ)」を表します。この智慧の「慧」というのは、特に御神仏の智慧を頂く場合はこの「慧」を書きます。「恵」の字は人間の知恵を表します。お釈迦様はその六波羅蜜の中でも一番目に布施の大事を説かれています。布施には種類があります。もちろん皆さんが汗して得られたお金を布施する事は大きな功徳です。他に無財の七施と言われる種類があります。

1、 和顔施(わげんせ)いつもにこやかで、穏やかな顔をして人に接する事で相手をほっとさせる。
2、 愛語施(あいごせ)言葉は時によると武器となり、他人を傷つける事もあります。
  常に愛のある優しい言葉で話しかける事。
3、 眼施(がんせ)やさしい眼差しで人を見る。 
4、 身施(しんせ)他人が困っている時、手を差し伸べるだけで、相手にとっては大きな感謝につながり、
  困難も乗り越える事が出来る。
5、 心施(しんせ)他人の為に心を配り、相手の悩みは共に悩み、相手の喜びは共に心から喜ぶ。
6、 房舎施(ぼうしゃせ)寒さや暑さをしのぐ為の場所を貸す。
  家の近くに友人知人が来たら、家に招きお茶を差し上げる。
7、 牀座施(しょうざせ)例えば電車の席を譲る、などの様に相手が今求めている事を察して
  手を差し伸べる。歩く事も出来ないくらい疲れ果てた人にお金は無用です。

以上が無財の七施です。
お金が無くても布施の行為は出来る。徳は得ようとするものではなく、積むものです。

ただし、どの布施も喜んで布施する事が大事です。見返りを求めず相手に喜びを与える事が本来の布施です。布施の行為に執着やこだわりがあると、功徳につながらない、とお釈迦様は説かれています。布施は心から行い、全てに執着心を起こさない事が大事です。七施の呼び方は種々ありますが、内容は同じです。お金がなくてもこの様に徳の種を蒔き、徳を積む事は出来ます。
次の機会に六波羅蜜の中の持戒についてお話致します。出家者でもなかなか完璧には守る事が困難だとされている戒律です。  合掌