六波羅蜜について

六波羅蜜の中の(2)持戒は十善戒という戒律があります。不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恚、不邪見があります。現代では出家者でもなかなか守りきれません。

1、  不殺生は、故意に生物を殺さない。私達が生きる限り最低限度殺生した物を生きる糧にしています。ありとあらゆる生き物の大切な命を犠牲にして、生かさせて頂いている事を忘れず感謝し、その代償として出来得る限りの努力をし、自分の命はもちろんの事、他の為に生きる事が大切です。

2、  不偸盗は、与えられていないものを自分のものとしない。他人の物を盗んではなりませんが、誰もがうっかり盗んでいるものがあります。それは時間です。他人の人生の貴重な時間を無駄口などで使う事も御神仏から見られると盗みになります。

3、  不邪淫は、よこしまな考えや思いを持たない。特に男女間の不正な情事を表します。

4、  不妄語は、嘘をつかない。

5、  不綺語は、真実でない飾り立てた言葉や意味のない事を言わない。

6、  不悪口は、他人の悪口や乱暴なことを言わない。

7、  不両舌は、俗に言う二枚舌です。他人を仲違いさせるようなことを言わない。

8、  不慳貪は、異常な欲を持たない。

9、  不瞋恚は、些細な事で怒らない必要のない怒りを持たない。

10、不邪見は因果応報や輪廻等を否定する間違った見解を持たない。

以上が十善戒です。

(3)忍辱とは耐え忍ぶ事ですが、我慢とは少し違います。人間向上につながる様に耐え忍ぶ事です。普通私達が考える我慢は、自分の考えが通らないから仕方なく我慢すれば良いんでしょ、と言う嫌々ながら我慢する事が多いのですが、これは忍辱とは大きくかけ離れています。自分の意見が通らず我慢しているのは、ストレスが溜まって、他人に悪口も言いたくなり人間向上につながらない。

(4)精進は一口で表すと努力の積み重ねです。どんなに立場が違う人でも一生懸命努力をする事です。精進料理を食べる事ではありません。

(5)禅定は、例えどんなに腹が立つ事があっても一呼吸おいて、常に安定した不動な精神状態を保つ事です。不動明王様が『常に不動な心を持ちなさい。』とおっしゃいますが、凡人の私達にはこれが難しいのです。不動心は怒りだけではなく、悲しい時も泣き叫ぶ事をしない。どんな時でも落ち着いて対処出来る安定した心、これが禅定です。

(6)智慧は、人間の知恵ではなく、御神仏の説法を体得した広い智慧をもって生活をする。真の智慧で物事を判断する事です。以上3ヶ月にまたぎお釈迦様が説かれた六波羅蜜を、簡単にお話ししましたが、これらの教えを守る事で必ず極楽浄土へ導かれます。諦めること無く少しでも近づく努力を致しましょう。合掌