入我我入観

 9月に引き続き、御仏様と自分が一体となると言われている入我我入観(にゅうががにゅうかん)の方法をお話します。自分自身で身体を見ることは出来ますが、鏡を見るか写真に撮るしか自分の顔を見ることは出来ません。そこで常に身近なところに鏡を置き、一日何回も見るようにします。鏡にも色々あって、うぬぼれ鏡というものもあります。美容室や洋服屋さんに行くと、実物よりキレイに映る鏡のことですが、出来るだけありのままを映す鏡を使う方が良いです。

 そして鏡を色々な時間に見る事が大切です。腹が立っている時や穏やかな時も見て下さい。すると同じ人間とは思えないくらい、様々な表情をしています。日によっても違いがあります。今朝は、ましな顔だなと思えたり、腫れていつもより不細工だったりします。特に腹が立っている時に見ると、自分でも驚くほど恐い表情をしています。その時でも必ず見て下さい。良い時だけ見てもダメです。もちろん一番良い時は、ニコッと笑っている時です。鏡を見てニコッと笑っても、それは心と身体が同化していません。写真を撮る時も、「ハイチーズ、ニコッ」その時も作り笑いをすると思います。そうではなく、身・口・意(しんくい)の三密(さんみつ)、つまり身体と言葉と心が一体となった時、それが本当の仏様になれる時です。例えば、くじ引きに当たった時、子供が生まれた時、結婚した時、人生では様々な喜び事があります。自分だけで喜びを噛み締め、自然に顔がほころんで来る時がありますが、一番美しい笑顔は他人が自分に喜び事を伝え、その方達と一緒に心から喜んであげた時の笑顔。それ自体が仏様のお顔です。その時に鏡を見れば、自分が本当に良い顔をしていることがわかります。同時に良かったね、おめでとう、と自然に言葉で伝えると、その言葉自体が御仏様の言葉なのです。その時も鏡を見て下さい。それが入我我入観になっているのです。難しい事ではありません。一日一分でも自分の良い笑顔に出会ったら、一分の仏様になれたと言うことです。一分が二分、二分が十分というように、一日の中で仏様になる時間を段々延ばして行くと、その笑顔が自然に身につき、いつも仏様のような顔になり、そして最後には、全員が生き仏様のようになれたら良いなと願っています。

 人間は動物の中で唯一笑うことが出来ると言われています。犬や猫は、怒る事は出来ても、笑う事が出来ません。その特権を十分に活かすことが、解脱(げだつ)の第一歩です。身口意の三密を良いことに向けて一致させることによって、少しでも御仏様に近付きましょう。皆様の守護霊はそれを心から望んで居られます。  合掌