仏教

 近頃本屋さんで仏教の本が良く売れているそうです。『衣食足りて礼節を知る』と言う管子(かんし)の言葉があります。最近の日本では衣食は充分に足りていますが、礼節はどうでしょう?

 『仏教学栄えて仏道すたれる』とも言われています。仏教の本が売れて読まれる方が増えたのでしょうが、本を読む事で知識ばかりの頭でっかちになり過ぎて、自分はすべて解った積りになりますが、仏教は実践が大事です。

 仏教の講演会に参加された方に聞いた話ですが、会が終わり皆さん駅に向かって行く途中、踏み切りの警報がなり、遮断機が下りそうになったので、慌てて渡ろうとしたら、老年の女性の下駄が線路に挟まって転びました。後ろから渡ろうとした紳士は、その女性に一瞥(いちべつ)しただけで通り過ぎました。その女性はその紳士を見て驚きました。それはたった今良い話をしてくれた講師だったので、本当に情けなかった、と話していました。

 『孝経をもって母の頭を打つ』の諺(ことわざ)があります。これは親孝行を説いているお経の本を、息子が熱心に勉強している時、母親が用事を頼んだら、うるさいと言って、その本で母親の頭を叩いた、と言うお話です。

 いずれもいくら良い話を説いた仏教本を読んでも、為になる話を聞いても、それを実践しなければ、人間向上の役には立ちません。仏の教えはどうすれば安心して不安の無い日々を暮せるか?と言う心を平静に保つ生活指導の様なものかもしれません。毎日私達が食事を採らなければ生きていけない様に、日々のご神仏への礼拝、ご先祖様への供養を当たり前に積み重ねる事、この様な実践が大事です。普段はこれらが生活の中に自然に溶け込んでいるので、恩恵をこうむっている事すら忘れていますが、病や災害などの不幸に見舞われた時、日々の積み重ねが功を奏します。それは知識だけでは決して救われる事はないのです。

 人間として守るべき道理は、現代も2500年前にお釈迦様が説かれた教えと全く変わりません。その教えが仏教であり、聞いた教えを自分の中にしっかりと体得して、実践する事により、いざと言う時に役に立つのです。仏教書を読んでも、中には間違った考えの物もありますので、この解釈は本当に合っているかどうか、疑問がある時は、必ず鵜呑みにせず聖法院にお聞きください。本も正しい物ばかりでは有りません。

合掌