人生は演者と観客(2024年10月)

 人生は例えば役者が舞台に立って主役に成ったり、脇役に成ったりしている様なものです。時には観客になった方が、役者自身に見えていない部分や、演技の不十分さが見えてきます。何故かと言えば自分が舞台に立っている時は、演じることに熱中する余り、心のゆとりもなく、時には自分の一人よがりで演じていることが多い。自己満足は出来ても観客から見て喜ばれる様な演技が出来ていない。自分では面白く楽しく演じているつもりでも、観客から見れば、中座したくなる程、退屈で無感動な演技になってしまう時もあります。もちろん出来るだけ色々な役柄を演じた方が人間の幅も広がり、他人の気持ちも良くわかる様になります。

 その結果他人との和合が保ちやすくなります。聖徳太子の17条憲法の第一項に『和を持って尊しとなす』と書かれています。仏教伝来に貢献した偉大な聖徳太子が、この世で一番難儀とするのは、人間関係だとおっしゃっています。人間関係が良ければ人生の80%が成功だといっても過言ではありません。それだけ人間関係は大きく私達の生活を左右するのです。幸せと感じるか、不幸と感じるかはこの人間関係によります。

 どうすれば人間同士の摩擦が少なく生活することが出来るかを御神仏にお尋ねすると、『簡単でもあり難しくもあるが、各人が安っぽいプライドを捨てること、世間体に惑わされないこと、これが出来れば何の偏見もなく、他人との関係が上手く結ばれる。もう一つ大切な事は、真の我慢はしても上辺の間違った我慢はしないこと』と説かれました。真の我慢とは忍耐で、この場合決して不平不満を言わないことです。間違った我慢とは自分の考えがあくまでも正しいと思うから腹が立つのであって、これは強情やわがまま以外の何ものでもないとご神仏は説かれています。相手の立場や心になって考えてみると、また違った見方が出来るものです。幸せな人生を送るために和合が最も大切です。 合掌