十善戒(2021年6月)

 梅雨の季節になりましたが、私達は同じ雨が降っても、その雨に対して感謝出来る日と出来ない日があります。水不足の時は待ちに待った有り難い雨です。水不足も自分の周りの環境によって思いが違います。自分が困った時に急に雨が恋しくなり、例え土砂降りでも雨が有り難く感じます。その時々でころころと思いが変わります。それは自分に都合が良いか悪いかの基準だけで変わります。人間はわがままで勝手な生き方をしているなと、梅雨時期になると毎年思います。真の真理とは絶対的にゆるぎのないもので、永遠に変化しない道理が、ご神仏が認めておられるあの世の真理です。しかし人間世界で生きている限り考えは変わります。その考えが変わる人間に対して、自分達はいかに思い惑わされているのかということです。

 私達が得度を受けて僧侶になる時や仏前結婚式の時、十善戒を授けられます。十善戎とは不殺生(ふせっしょう)、不偸盗(ふちゅうとう)、不邪淫(ふじゃいん)、不悪口(ふあっく)、不妄語(ふもうご)、不両舌(ふりょうぜつ)、不邪見(ふじゃけん)、不綺語(ふきご)、不瞋恚(ふしんに)、不慳貪(ふけんどん)、これらをしっかりと守りますか?と聞かれます。私達は直接殺生をすることは少ないですが、間接的に食料として生物の命をいただいています。魚や肉を食べるし、植物も食べています。これら全ての物が生きています。不偸盗、人の物は盗みませんが、他人の大切な人生の時間を、無駄なことで盗む時があります。これら出家の者達が守れないことを、なぜ結婚式の儀式に守ると誓わせるのか?とご神仏にお尋ねしました。

 人々はこの世に生きて居るだけで、日々罪を犯していることを再認識させる為、わざわざ誓いを立てさせているそうです。私は少し安心しました。絶対に守らなければいけないと思うと、精神的に重いものがありますが、様々な罪をたくさん背負いながら生かせて頂いている私達は罪深い人間だという事実を自分で認識させる為にあるのであれば少しは気が楽です。

 全ての人間はあの世からの悪因縁を持ち込んで来ています。それを少しでも減らすには善根功徳を積むことです。これをおこたると、あの世から持ち込んだ悪因縁や、日々間接的な殺生をして罪を重ねていることや、その他の罪がドンドン増えるばかりで、生まれた時より少なく見積もっても数倍もの悪因縁に増やして、あの世に帰る状態になります。この世に生まれた目的は、周りの人々への善行により悪因縁を減らし、より良い状態に上がることです。逆に悪因縁を増やして帰るなら、今回この世に生を受けた意味がなくなります。つまり自分の人生は無意味だったと言う結論に達します。無意味な人生だけは送らない様にしたいものです。合掌