因縁について

 相談に来られた方で「あなたは悪因縁が多いから幸せになれませんと、占い師さんに言われてショックを受けました。なぜ悪因縁になるのでしょうか?悪因縁を消す方法はあるのですか?」と聞かれた事があります。因縁とは日々鏡を見ている様なもので、良い因縁も悪い因縁も自分の言動が、そのまま結果となって現れるのです。この世は本来の自分探しの修行をする所です。人間の思い通りの人生が、すなわち正しい人生とは限らず、正しく修行がなされているか否かは御神仏にしか解りません。私達はあの世に帰って49日後に、閻魔大王様により行く先を決められます。決まるまでの間は中陰と言い、7日ごとに供養をします。49日後に六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天界)のいずれかの世界に連れて行かれます。行き先は今世や前世での行為により決定されます。全ての人々はこれら六道の世界を生まれ変わり、死に変わりと輪廻転生するのです。六道から開放され、自由の世界に入るのが解脱(げだつ)です。解脱とは解り易く言えば人間本来の自分を探す事と言っても過言ではありません。自分自身を探す事に徹すれば、自然に解脱に近づく事になります。自分の魂が自分自身の心とピタッと一致する事が解脱の一歩と言えます。魂と心は基本的に違いがある事をしっかりと認識しなければなりません。魂は本来清浄であり、御神仏のお考えと同じです。私達が解脱に関して理解出来にくいのは、そのレベルに達していないからです。あの世に帰ると肉体は亡くなっても、魂だけは残る事が沢山の実例で、はっきり解っています。

 ここに例を挙げますと、施主の御主人が23回忌を迎え供養に来られました。戒名を唱えて呼び出すと、その方の顔を見てビックリしました。顔一面にガラスが刺さっていたからです。しかも三角に尖った鋭利なガラスです。供養が終わり奥様に御主人の顔一面にガラスが刺さっていた、と言うとその方は大変驚いて「主人はトラックの運転手で事故を起こした時、フロントガラスに顔を突っ込んで亡くなりました。でも変ですね、私がガラスを丁寧に全部抜き取ったのに、何故あの世でガラスが刺さったままなのですか?」と不思議がられていました。奥さんしか知らない事故の有様を私に知らせる事によって、あの世で確かに魂が生きている証拠として見せたのです。しかも顔を押さえて痛みを訴えました。肉体がないので痛みは消えているはずですが、この世の最期で余りにも痛い目にあった為に、潜在意識に刻まれたのです。様々な煩悩が習気(じっけ)となり、その結果悪因縁となるのです。習気とは例えばビールやミルクを飲んだグラスを水洗いすると、綺麗になり汚れは見えないのに、そのグラスで水を飲むと少しミルクやビールの匂いが残っている状態です。肉眼で見えないが習性となった残り香(のこりが)のようなものを習気と言います。この場合の残り香が煩悩を表しています。これが潜在意識に叩き込まれ、結果として悪因縁となるのです。心と魂は別であり同じではありません。魂の周りを心が覆っているのです。魂は光り輝いています。これが真の自分であり「真我」と言い、煩悩で汚れている心は「自我」と言います。煩悩を少しでも取り払い心と魂が近づき、次第に一体とする為に私達は精神的な修行をする目的で、この世に生まれて来たのです。決して財産を残す為に生まれて来たのではありません。精神的な修行をしっかりとして、あの世に帰る時には、魂と心が出来るだけ距離なく、一体感がある様に努力しましょう。   合掌