新年の挨拶

明けましておめでとうございます。
昨年は色々御協力頂きまして誠にありがとう御座いました。

昨年も色々なニュースがありました。小池都知事の誕生と共に築地の豊洲問題、オリンピックの誘致問題、アメリカではオバマさんからトランプさんに大統領が決まり、かつて無い様な抗議デモが起こり、ようやく静かになったかに見えますが、地下深くでは、まだまだくすぶっている様です。アメリカの大統領が代わる事で、日本にどれだけの影響があるかは解りませんが、私達の生活が一挙に変わる事はないと思います。

新年の初法会では日本の繁栄を祈ると共に、やはり信者の皆様方が今年もお元気に、楽しく過される事を心から御神仏にお願い致しました。

今年は酉年です。年賀状にも書かせて頂きました鶏に因んだ四字熟語『鶏鳴狗盗(けいめいくとう)』があります。鶏の鳴きまねをして人をあざむいたり、犬の様にコソコソと盗みをする様な、卑しくつまらない人間を表わした熟語です。

これは中国の戦国時代、斉(せい)の孟嘗君(もうしょうくん)が、時の強国である秦(しん)の昭王(しょうおう)の再三の招きに応じた時の話から出来た熟語です。孟嘗君に会った昭王は一目で彼が気に入り、秦の首相にしたのですが、側近が昭王に『彼は賢い人ですが所詮は斉の人間、秦にとっては危険な人物です。』と忠告しました。それを聞いた昭王は孟嘗君を監禁し、殺そうと計画しました。そこで孟嘗君は昭王の愛人に助けを請いました。彼女は「昭王に差し上げた物と同じ様な白狐の外套(がいとう)が欲しい。」と言いました。一つしかない品物なので困っていると、斉から連れてきた家来が「私に任せて下さい。」と言い、毛皮を盗んで来て、彼女に渡しました。脱出に成功した2人は夜中に函谷関(かんこくかん)に着きました。所がこの関所は朝の知らせを鶏の鳴き声を合図とし、旅行者を通す決まりなのです。追手は近付くし困っていると、家来の一人が「私に任せて下さい。」と言って鶏とそっくりな鳴き声を出しました。その声で近所中の鶏が一斉に鳴き出して、無事に関所を出ることが出来、斉に帰国しました。常々無駄に食べさせていると思っていた家来に助けられたのです。

この様に私達は日頃軽く見ている人達に、思い掛けなく助けてもらう時があります。全ての生物は何かの形で役立ち、無用な生物はこの世に存在しない、とお釈迦様は説かれておられます。ましてや人間同士となると尚更の事、差別なく思いやる心が大切です。

今年も聖法院を心の故郷として、良きにつけ悪しきにつけお参り下さいます様、心からお待ちしております。今年も宜しくお願い致します。

合掌