草花も輪廻

 雑草が生い茂る季節がきましたが、四国八十八ヵ所をお参りした時に神様から頂いたお言葉を思い出しました。札所にはお聖天様は滅多にお祀りされていませんが、八十五番にはお聖天様がいらっしゃり、「草花(雑草)も輪廻転生しているのだ」とおっしゃいました。

雑草は抜かれても1週間位でまた直ぐに生えてきて、とても根強いです。雑草でも藤色や黄色の小さくて本当に可愛い花を咲かせて、私達の心を和ませてくれる草花もあります。しかし庭に雑草がたくさん生えると、松や梅などの成長の邪魔になります。雑草も高価な松や蘭の花にも輪廻転生があり、高価な木や花になるには、肥料をやる人も必要ですし、雑草を抜く人や水をやる人、そして剪定(せんてい)してくれる植木屋さんも必要です。それに比べると雑草は邪魔をしているかもしれませんが、育つ段階で人の世話にはなっていません。高価な植木は、世話をしてくれる人達に「ありがとう」の感謝を、そして自分の為に命を削ってくれる雑草に「ごめんなさい」と言う気持ちがあれば、来世もまた皆を喜ばせてくれる高価な植物に生まれ変わる事が出来ますが、自分は高価な植木だから世話をしてもらって当たり前だと思っていると、今度は逆転の立場になるそうです。

 それは人間も全く同じです。出世すればする程、縁の下の力持ちになって下さる様々な力を借りて自分は維持出来るのだと言う感謝の気持ちを植物も人間も忘れてはなりません。庭の草を抜きながら「あなたは今、雑草だから抜かれているけれど、これを不満に思わずに早くあの世へ行って、今度は抜かれない高価な植物に生まれ変わってね。」と思う気持で抜くと良いと思います。

 今から25年位前に弘法大師様から植物に例えたお話を教えていただいた事があります。

同じ土地に苗木を二本植え、同じ肥料を同量やって育てたが、一本はただ単に背が高く、もう一本は横にガッチリと育った。これを林に移動させたら、背が高く伸びた木がひときわ目立ち、他の木々を見下ろす感じであった。しかし台風によって一番早く倒れてしまった。上へ上へと伸びた木は、世間体ばかり気にする人間に等しく、目立ちはするが一生社会に貢献する事もなく終わり、ガッチリとして己を知っている木は、やがて立派な材木となり役に立った。この木の様に人間も世間体ばかり気にしても何の役にも立たず、いざと言う時に人々から見放される事が多い。

 

皆様も今の人生に満足していない人は、次のチャンスは輪廻転生に向けて、今世でしっかりと頑張る事です。その為には今現在の時間の使い方が大切なのです。自分の持ち時間を無駄にせず有効に使い切る事が何より大事です。

合掌