ストレスを活かす

 最近来られる若い方に多いのが、「私は病院で身体を全部検査しても、どこも悪くないのですが、仕事をする気はしないし頭は痛い、めまいもするし、人と話をする気もしません。私は霊にでも取り付かれているのでしょうか?」という相談です。霊視をしても悪い霊が付いている訳でもないので、ストレスが原因でそうなるようです。
 文化が発展して、物が豊富な所ほど、ストレスを持った人が多いそうで、アフリカの奥地やインドなどにはストレスを抱えた人は殆どいません。ストレスの対処法は自分の心を変えて行くしかありません。

 解決策として、布施の中に無財の七施というものがあり、その中に和顔施(わがんせ:穏やかな顔をする)、愛語施(あいごせ:慈しみの言葉や優しい言葉をかける)があります。まずストレスを抱えている人の話を、ゆっくりと穏やかな顔で聞いてあげて、優しい言葉を掛けてあげる事がこの二つにあたります。周りの人に対しても心がけてあげると周りのストレスが減り、自分へのストレスも軽減します。
 自分自身のストレス解消法としては、この人に会ったらほっとすると感じる人を最低二人、自分の周りに見つけておくことです。二つ目は、没頭できる趣味を持つことです。統計を取ると趣味を持っていない人に、ストレスで悩んでいる人がとても多いそうです。そして自分も他人のホットラインになってあげることです。人の話を聞くことでそれが免疫になるし、「この人が悩んでいることに比べれば、自分の悩みは些細なことだったのだ。」などと思えることもあります。

 カナダのある大学教授が、「ストレスは人生のスパイスだ」とおっしゃっていましたが、例えばカレーライスが辛くなかったら、全く美味しくないと思います。逆に激辛でも食べられないでしょう。同じ様に適度なストレスなら人生の良いスパイスになります。鰯はとても弱い魚だそうで、どの様にしたら生け簀で長生きをさせる事ができるのかを業者は考えました。鰯の天敵である鯖を一匹入れておくと、緊張して逃げ回ることで長生きするそうです。
 これで判る様に適度なストレスは自分の良い力になるのです。「私はストレスで御飯も欲しくないし、人とも話したくない」などと言って逃げていたのでは自分の人生を暗くするだけでなく、本当に病気になってしまいます。

 金さん銀さんの金さんは百八才で亡くなられましたが、その十五年前の方が老けていてお婆さんに見えたのです。百才になった時にNHKが双児の姉妹を取り上げ、化粧をして良い着物を着せてもらってTVに出演しました。それにより色々な人に出会い、適度なストレスが細胞を蘇らせて綺麗になり元気になったのです。その後、ダスキンのコマーシャルに出演し、その出演料が三百万円だったそうですが、二百万円は福祉に寄付したそうで、「残りはどうされますか」とインタビューで聞かれ、「老後の為に貯金します」と言われたそうです。百五才でもまだ老後だとは思っていなかったのです。ですからストレスと上手く付き合う様にして、自分の活力にすれば自分も活かせるし、健康で長く生きられるのです。
 皆さんも聖法院で「次は何日に大祭ですね」と次々にするべき行事予定を考えていたら、適度なストレスになり、逆にそれが生き甲斐となって長寿とぼけ封じに繋がると思いますので、楽しんでお参りして下さい。

合掌